絆雛
東之湖は34歳の頃から毎年、湖国の自然をモチーフに、地元特産の麻の衣装を着けた連作「清湖雛」を発表。現在、22体を市に寄付した。
20歳中頃に突然の難病を発症し「生きることすら無理と思った自分が、新しく生まれてくる命の幸せを願い、成長とともにある人形を作らせてもらってうれしい」
その思いが少しでも伝わればと、客の要望に沿って一体一体作っていく。人目を避けようと朝型になった週間から、人形作りは未明に始める。客足の途絶える夏場も、工房に籠りきりになって制作する。「絆雛」は、血と血のつながりを意識して、赤い衣装を基調にした。1作目の内裏雛は、弱い者を表す女雛に男雛が手を差し伸べた格好だ。大震災の発生に「震災と病と形は違えども、考え方や生き方について変えざるを得ない経験だ」と思い、製作を決めた。
「復興には時間がかかるだろう。被災地をいつまでも気に掛けながら、人形制作を続けたい」。
東近江市と親交がある宮城県岩沼市に毎年、届けるつもりだ。
<霞(かすみ)>
制作日:2020年
9年目の今、先が見えそうでなかなか見えてこない。
でも、やまない雨はない必ず光が差し込む日が来ることを願いながら負けずに頑張っていきたい・・・
晴れた日の落ち着いたかのような・・・
嵐の前の静けさみたいに遠くの景色がかすんで見えるかのように春の季節に立つ霞・・・
穏やかな春の陽気の中に幻想的なかすみがかっている様子を表し、平安時代の和歌に春の風物として多くの詠まれた(春霞)を表している。
<天空(てんくう)>
制作日:2019年
震災より8年が経過。
東之湖氏が東北大震災被災地に、人形を通じて被災地の方々に微力ながら〈繋がる愛・優しさある勇気・癒し〉を感じ取っていただき、少しでも一日でも早く笑顔の輪が拡がりますようにとの願いで製作され8作目になります。
昨年は天音(あまね)をテーマに元気に前向きに頑張って欲しいとの願いを・・・
天空は神の住まいなどを指しますが、被災地の空を見上げれば徐々に復興の明るい青い空が拡がりつつある「青」をびわ湖ブルーの衣装に表しました。
<天音(あまね)>
制作日:2018年1月
今年も東北大震災被災地に東之湖氏は人形を通じて被災地の皆様方に少しでも優しさを感じとっていただき微力ながら元気に前向きに頑張ってほしいとの願いを全身全霊込めた絆雛は7作目になります。
昨年は蕾(つぼみ)をテーマに今年はその花が咲きかけて、天からの優しい声(春の声)が被災地の方々にみんなが幸せな花が咲きますようにとの思いを込めて制作され被災地が輝くようにと光沢ある色彩が特徴です。
<蕾(つぼみ)>
制作日 : 2017年2月
震災より6年の月日が経過。
東之湖が震災地の宮城県岩沼市を訪れた時に『絆雛』を待ちわびていたみんなの素敵な笑顔を見て、復興の花が咲き始めたと感じました。
笑みの眉開く・・・蕾(つぼみ)が開き始め、もう少しで復興の花が咲きますようにとの願いで製作しました。
<春薫(しゅんくん)>
制作日:2016年2月
震災より5年。
被災という、凍てつくような冬を越えて、温かな風が頬を撫でるような、のどかな春の薫りが漂いますように心をこめました。
<葵(あおい)>
制作日 : 2015年2月
震災より4年。
草木が太陽に向かって生い茂り、花が咲き、豊かな実りを運んできます。
被災した街や人々が再び活気を取り戻し、賑わっていくことを願います。
<若草(めばえ)>
制作日 : 2014年2月
震災より3年。
少しずつ草木の芽が生え始め、生命の息吹を感じるように力強く立ち上がっていってほしいと願いをこめました。
<陽(ひだまり)>
制作日:2013年2月
震災より2年。
多くの被害により冷え切った土地に、太陽が降り注ぎ希望の光が差す。
復興に向けて、共に頑張っていきたいという思いをこめました。
<絆雛>
制作日 : 2012年2月